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2010年6月 4日 (金)

『藤子不二雄A×大野智』対談 【後編】

昨日の続きです。 アーティスト・大野智の一面が垣間見れる内容になってます。 長文でも大丈夫って方はどーぞ。

***

- おふたりの共通点として、「絵を描く」ということがあるのかなと思うんですが、先生は大野さんの作品集『FREESTYLE』をご覧になったそうですね。 いかがでしたか?

藤: 非常に面白くて、強烈な個性があって、僕にはまったく好みの絵です。 こういう絵を描きたいと思うくらいだね(笑)。 本職じゃなくて、ある意味趣味で描いてたわけなのに、あんなに独創的で彼にしか描けない絵を描いてるとこがすごいと思うんだよね。 恐らくそっちのほうに行ってもトップになれると思うよ。

: いやいやいやいや。

- (笑)そう言われてどうですか?

: いやぁ、もう、嬉しいですよ(笑)。 でも、ほんとに好きで描いてますね、ずっと。

藤: うんうん、やっぱり好きでないとね。 僕はどっちかっていうと、子供の頃は、マンガよりも普通のチャンバラとかね、そういう挿絵みたいのを描いてたんですよ。

: あ、そうなんですか。

藤: それで親父が死んでね、富山県の氷見ってとこから、小学校の5年生の時、転校したわけ。 先生が氷見から転校してきた安孫子くん・・・」って紹介してくれたけど、休み時間になっても誰も寄ってこないの。 それで僕、休み時間にひとりでノート開いて、チャンバラの絵描いてたの。 すると誰かが寄ってきて、富山弁で「おまえ、絵がうまいのう」って。 それが『ドラえもん』の藤子・F・不二雄氏だったの。

- ほーお。

藤: 「お前も描くの?」ってノート見せてもらったら、完全なマンガで、めちゃうまいのよ! びっくり仰天してねえ。 それからバーッと仲良くなって、毎日一緒にいるようになって、ふたりでマンガ家になったんでね。 恐らく彼も僕も、会わなかったら、絶対ふたりともマンガ家になってなかったわけでね。

: へえー、すごいきっかけですねえ。

藤: 自分で絵を描くことによって、その中へどんどん入っていくっていうことがね、絵を描かない人にはわかんないかもしれないけど、たまらない喜びなわけですよ。

: すごくわかります。 わくわくしちゃうんですよ。 もう自己満でいいんですよね。

藤: そうそうそう! 自己満でいいのよね、うん。

: 先生にお聞きしたかったんですけど、怪物くんはどこから描くんですか?

藤: 怪物くんは帽子から描くの。 僕はだいたい上からで、帽子描いて、顔の輪郭描いて、それから目描いて、口描いて、上から下までずーっと順番に描いていく。

: 僕は大抵目から描くんです。 そうじゃないとなんか、バランス取れないんですよね(笑)

藤: 目から? へえー。 目からよく描けるね(笑)

: ってよく言われるんですよ。 僕からしたら、「なんで帽子から描けるんだろう?」っていう(笑)

藤: ははははは。 まあ確かに目は一番大事な要素だからね。

- 「わくわくしちゃう」というのは、おふたりの中で共有する感覚としてあると思うんですが、それはどういう喜びなんですか?

: 僕はまずアイディアが浮かんで、わくわくしちゃうんです。 なんとなくビジョンが見えてたりするんだけど、描いてくとまた変わってくるんですよ。 どんどんアイディアが浮かんで、「あ、ここはこっちにしよう」とかなって。 で、すごいいい感じに進んでることにもう、わくくわくするっていう。

藤: なるほど、なるほど。

: で、完成した絵をずーっと見ながらひとりでニヤニヤして(笑)。 暗いっちゃ暗いんですけど、それがたまんないんです。

藤: いいねえ(笑)。 僕らも連載やる時に、最初にキャラクターを描くじゃないですか。 ところがね、半年後ぐらいになると、自分が意図しないのにキャラクターがまったく違ってくるのね。 一番極端なのは『オバケのQ太郎』で、最初描いた時は毛が30本ぐらいあったの。 もじゃもじゃで。 それが、半年後になったら3本になったの。 僕と藤本氏で相談したわけでもないのに、僕らがノって描いてると、キャラクターが勝手に動いて、生きてるように成長していくんだよね。

-なるほど。

藤: 今大野くんが言ったように、どんどん絵を描くことにのめり込んでわくわくするっていうのは、ほんとに気持ちが自分の絵の中に溶け込んでるわけだから、最高のことなんですよね。 彼の場合はそれを発表するとか、そういう意図はないわけで、純粋な意味で楽しんで描いてるってことだから、それが一番素敵なんだよね。 ところが、うま過ぎるんだ。 素人を超えてるから(笑)

-「絵を描くことを楽しむ」というルールは、先生の中でもずっと変わらないものですか?

藤: そうですね。 やっぱり結局マンガを描くことが好きだし、楽しいからやってこれたわけでね。 そうじゃないとめんどくさいんですよ。 締切っていうのはほんとに待ったなしでね。 若い時、連載を週刊2本と月刊4本やってる時なんか、毎日原稿渡さなきゃいけないわけですよ。 遅れてくると、編集がとにかくつきっきりでいるわけ。 ひとりになると逃げると思われてねえ(笑)

: ああ~(笑)。 

藤: 藤本氏と僕は一時机を並べてマンガを描いてたんだけど、藤本氏は、だいたい6時になると家へ帰るんですよ。 僕は6時近くになると、電話がいっぱいかかってきて、やれ酒呑もうとか、麻雀しようとか、いろんな誘惑がきてね(笑)

: はははは。

藤: で、ちょっと抜けて、夜中に戻って、そっからまた完徹でやって。 体だけは丈夫なんだけど、よくもったと思う。

: すごいなあ・・・。

- すごいですよね、このエネルギーと好奇心は。

藤: 好奇心とかね、遊び心とか、なにやっても「面白い!」と思う気持ちが元気を作るわけでね。 今はみんな割と冷めてるけど、「なんだ、そんなことくだらん」とかなっちゃうと、人間はどんどん退化してくわけで。 マンガもね、僕らは何十年とやってるから、計算だけである程度描けるけど、そういうマンガは読者は読んでくれないわけ。 役者も歌手もそうだと思うけど、そこに自分のハートがのめり込んで、自分がほんとに身を入れて、「どうだ、面白いだろう!」と思って描いたマンガが読者に伝わるわけで。

- それめちゃめちゃわかるんじゃないですか?

: そうですね、 芝居にしてもそうですよね。 連続ドラマは今回で3回目ですけど、楽しむっていうのは自分の中で決まっていましたし、楽しい空気感で作れたらいいなっていうのはありますね。

藤: そうやって『怪物くん』をやってもらえるのは嬉しいなあ。 『怪物くん』のドラマを観て元気がつくような、面白いドラマにしてもらえるといいですけどね。

- 今日はいかがでしたか?

: 僕も好きなことはとことん好きだし、興味あることは結構いっぱいあるから、先生の話聞いて、「これでいいんだ」って思いましたね。

藤: 大野くんなんかまだ人生がわーって広がってるわけだから。 自分でほんとにいろんなことにトライするということで、これからいっぱいいろんな世界が広がるわけで、非常に楽しみです。

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